言葉なんて要らない
二人には心があるから
静かに愛し合う二人、どんな時もそばにいるだけで
それだけでも幸せで、そんな人を探していた
二人に叶えたい夢が出来たのはある命のお陰
* any time *
前編
「清十郎....ぅぁっ..///」
横たわる二人が揺れる度、鉄のベッドがギシギシと軋んだ
交わった数は数知れず、放った数もそれ相応
二人の間に“愛してる”や“好きだ”などの言葉は出てこない
ただ、お互いを感じ、お互いの存在を求め
心を通わせていた
世間で囁かれる“アイシテル”二人で交わされる
“接吻
”
重さは似ていて似つかない
二人に言葉は要らない、眼があって、心があって、体があって
意志があって、愛がある......
誰にも邪魔など出来やしない、二人の愛が深いから
何度目かの絶頂を迎えて二人の体は離れた
腕の中で呼吸を整える
の髪を進は優しく撫で梳いた
「清十郎......?」
「
...もう一度」
「もうイヤ、疲れたもの」
「わかった.........」
ん? と進の顔を見上げると不意に送られた“愛してる”もとい“接吻”を
は甘んじて受け取った
そんな甘い夜からおよそ3ヶ月後、
に変化が起きた
「どうしよう......」
トイレから出てきた
は口元にハンカチを当てて保健室へ向った
足取りはおぼつかないようだが、それでも歩く
そんな
を見つけたのは同級生の高見
「あれ?どうかしたの?
君...顔色が優れない様だけど」
「うん......ちょと吐き気がして...保健室に」
「大丈夫?送るよ、ほら、肩に掴まって」
「...クス、私の背じゃ届かない」
「あ、ごめん...じゃあ」
「え? わっ」
突然フワリと浮遊感を感じたと思えば地面は遥か下、
高見は横抱きで
を抱き上げるとそのまま歩き出した
「た、高見君っ」
「大丈夫だよ。落さないし、進に見つかったらちゃんと俺が言うから」
「そう言う問題じゃなくて...あ」
「やぁ、進」
二人の進行方向に姿を現したのは紛れも無く進
高見は自分の彼女が他の男に横抱きにされていたら
一体どんな表情をするだろうかと興味があったが、生憎目の前の男は
そう言った事には縁が無い様で、まるで自分の彼女に限って
といった顔をしている
「どうも、
...どうかしたのか?」
悔しいながらも間違っても浮気現場として見ない進に少し
嫉妬を覚えた高見、本当にこの二人の間にはすき入る間が無い
「うん、少し...気持ち悪くて」
「そうか...高見さん、後は俺が」
「ん? あぁ、そうだな。じゃあ選手交代な、それじゃあ
君、お大事に」
少しの間、これはちょっとした二人へのあてつけだろう
高見は保健室へと向う二人の後ろ姿を暫らく眺めていた
「風邪でもひいたか?」
保健室についた二人だったが保険医は生憎外出中でいなかった為
進は簡易ベッドに寝かせると少し汗ばんで額に付いた髪を払いながら言う
「ん......」
「どうした?」
「......その」
「?」
その一言を口から絞り出した後、
は視線を外してしまう
「
......?」
「 ちゃった」
「何だ?」
「出来ちゃったみたいだよ」
「...そ、それは...」
「赤ちゃん...いるみたいだよ...清十郎」
「!!
っ」
「どうしようか...」
「...どうもしないだろ?
は...どうしたい?」
こんな時、こういって逃げてしまう進に少しだけ“ズルイ”と漏らす
暫くの沈黙の後、
は消えそうな声で
清十郎の子だよ?生みたい
と、そう言った
「でも...」
「でも?」
「きっと怒られる...まだ学生だって」
「
の人生だ...
が決めればいい、決めるのは親じゃない」
「清十郎......」
まだ正午の太陽が日陰になった保健室を照らし付けた......
前偏 終わり
=アトガキ=
病弱な彼女と彼女をお見舞いに来た少年
.....って設定違っ!
まだまだで意味の分らない作品、今後どうなるなんて私には解らない
ただ、私の考える事をこのお話に入れたかっただけ
“愛”は言うんじゃない、示すんだって
言葉よりも行動が欲しい、言葉なんていくらでも囁ける
優しい言葉より、優しい心が欲しいデショ?
それでわ、後編も見る気のおありな方のみ後編をお読み下さい